阿南透先生によるガイドで、寒川神社(神奈川県)御神門の「迎春神話ねぶた」を視察。フィールドワークを通して神社仏閣や祭りの背景にあるストーリーが見えてくる。

文化人類学ゼミナール

私たちは、何者なのか?人類の謎を解き明かそう。
他者との出会いを通して、当たり前を問い直す。グローバル化する現代を見つめる視点を養います。


雨上がりの空に広がる虹。あなたの目には、何色あるように見えますか?「もちろん7色でしょ」と即答したあなたは、自分が“文化の色メガネ”をかけていることに気づいていません。異なる文化圏では、虹は6色とされたり、3色だとされたりしています。日本でも、かつては7色とはいわれていませんでした。文化人類学を学ぶ上で大切なもののひとつが、異文化を鏡としながら自らの常識や価値観、つまり「当たり前」や「普通」を見つめなおす姿勢です。本ゼミナールでは、アフリカやオセアニアなど世界のさまざまな地域で生きる人々の暮らし、あるいは私たちが暮らす街の中にも広がる“異文化”を取り上げ、人間の生の多様性と可能性について考えます。
こうした学びには、フィールド(調査研究対象となる場所や環境)での出会いと発見が欠かせません。身近な街でのフィールドワークでは、調査のコツや自らの経験と気づきを言語化するスキルを学びます。

川瀬 由高 先生
文化人類学の面白さは、自分のそれまでの常識や思い込みを揺さぶるような新たな価値観に気づかせてくれることです。他者との「違い」を価値の優劣で判断するのではなく、その「違い」を尊重し、そこから新たな視点を学ぶこと。これが、文化人類学が最も大切にする姿勢です。

民俗学ゼミナール

「平凡な日常」の中に生きる、伝承と変化を探る。
私たちが何気なく過ごす毎日に、研究テーマを発見!日々の暮らしと社会の変化を調べ、たどり、考えます。


民俗学は、地域の習慣や生活様式、祭礼、妖怪といった、人々の暮らしに受け継がれてきた文化の研究を得意としています。これらは“古き良き伝統文化”などと紹介されがちですが、決して過去のものではありません。さまざまに変化しながら、現在の暮らしの中に生き続けているのです。
本ゼミナールでは、主に戦後~高度成長期~現代に至る生活の変化をたどり、私たちの生活や考え方の中にある“生きた伝統文化”を探究します。「コロナ禍の生活」「令和大礼」「アニメ聖地巡礼」「妖怪とまちおこし」「テーマパーク」「祭りとイベント」「就活祈願」など、自らが興味を持ったこと、発見したテーマを掘り下げていく学びが魅力。文献、マスメディアやネット、行政資料などから情報を集め、フィールドワークでたくさんの人に会って話を聞いたり、街や暮らしを観察したり。そうした「質的調査」から、日常の中にある文化とその変化について考えます。

阿南 透 先生
日常生活を学問にするためには、身の回りのことに対して「なぜ?」という疑問を持ち続けることが大事です。その疑問を深く追究していくための手段が民俗学です。

Student Interview

日々の生活から問いを発見し、
掘り下げて、共有するおもしろさ。


身近な習慣や風俗にあふれる「当たり前」を掘り下げていくという行為は、その根底にある文脈(背景や原因)を読み解いていくこと。そして社会そのものを見つめ直すことでもあります。民俗学の学びを通して社会の構造を解き明かしていくことに、おもしろさを感じています。また異文化の人々と交流する機会が増えている現在、自分と相手の「当たり前」の違いが、どこに、なぜあるのかを理解する力を養えるところも民俗学の魅力だと思います。